ボクロスポリン(ルプキネス®)
ボクロスポリンとはどのような薬ですか
ボクロスポリンは免疫抑制薬のひとつです。タクロリムスやシクロスポリンといった免疫抑制薬と同じ仲間のお薬で、日本では2024年11月から使用されています。SLEは、異常な免疫系により自分自身を攻撃してしまうことで起きる病気ですが、ボクロスポリンは特にT細胞という免疫細胞を抑えることにより、SLEの炎症をしずめて、臓器へのダメージを防ぎます。
どのような場合にボクロスポリンは処方されるのですか
SLEのなかでも「ループス腎炎」が保険適用となっており、主に腎臓に病変がある患者さんに処方されます。ループス腎炎の活動性(病気の勢い)を抑えたい場合や、改善した状態を維持するために使われます。治験でステロイドやミコフェノール酸モフェチルと併用した際に有効性が認められたため、これらの薬剤と一緒に用いられることが多いです。

どのように服用すればよいでしょうか
ボクロスポリンは飲み薬の免疫抑制薬です。基本的には、1回3カプセルを1日2回内服します。ただし、腎臓の機能や肝臓の機能が悪い場合や他のお薬との飲み合わせがよくない場合は、内服を避けたり、飲む量を減らすことがあります。ボクロスポリンを処方されている場合は、必ず定期的に病院に通院して、主治医の先生の指示通りに内服しましょう。
副作用にはどのようなものがありますか
この薬だけでなく免疫抑制薬一般に言えることですが、からだの免疫力が低下し、様々な感染症にかかりやすくなります。また、感染症にかかった場合には、重症化したり長期化したりしやすくなります。普段から感染対策を十分に行いましょう。
この薬の副作用としては、頭痛、血圧の上昇、下痢などが比較的よくみられます。また、長期間の服用により腎機能が悪くなることがあります。日頃から体調に気をつけて、何かあれば主治医の先生に早めに相談しましょう。
何か注意が必要なことはありますか
・内服中は生ワクチンは基本的に接種できません。ワクチンを希望される際には、打ってよいもの(生ワクチンではないワクチン)かどうかを必ず主治医の先生に確認してください。
・免疫を抑える薬なので、感染症にかからないように注意が必要です。手洗い、うがいをこまめに行い、人混みに行く時はマスクをするように心がけましょう。
・感染を疑わせる症状(発熱、喉の痛み、咳、排尿する時の痛みなど)やなにか異常と感じる症状があれば、直ちに主治医の先生に報告してください。
・血圧が上がる副作用がでることがあるため、ときどき家で血圧を測定をしましょう。
・グレープフルーツを食べたり飲んだりすると薬の作用が強くなり、副作用があらわれやすくなることがあります。一ボクロスポリンを内服している方は、グレープフルーツを摂取しないようにしてください。
・ボクロスポリンは妊娠中も使用できるシクロスポリンによく似た構造をもつ薬です.しかし,新しい薬のため,妊娠中に安全に使えるといえるだけの証拠がまだありません.妊娠中の方、妊娠を予定している方、授乳中の方は内服前に医師に相談してください。

