紫外線対策

太陽光の中には、目に見える光のほかに、目に見えない赤外線や紫外線が含まれています。紫外線を浴びすぎると皮膚がダメージを受け、日焼け・シミ等の原因となります。さらに全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんでは、紫外線にさらされた後に肌が赤くなったり、水ぶくれや熱が出たりすることがあります。このような症状を“日光過敏症”といい、これをきっかけにSLEの症状が始まることもあります。また紫外線によりSLEの病状が悪化することもあります。SLEの発症と悪化のどちらにも悪影響を与えるため、日光過敏症のある患者さんは紫外線を避けるよう対策することが大切です。どんな対策が有効なのか、紫外線について学んでいきましょう。

紫外線(UV)はUV-A、UV-B、UV-Cの3つに分けられます。UV-Aはほぼ全てが、UV-Bは一部が地表に到達します。UV-BはUV-Aよりも地表に届く量は少ないですが、UV-Bの方が日焼けをさせる力が強いです。紫外線対策を行うときはUV-AだけでなくUV-Bにも気を配る必要があります。また、太陽から感じる暑さは赤外線によるもので、私たちは紫外線を感じることはできません。そのため、日光の熱を感じなくても紫外線を浴びている可能性があります。薄い曇りの日でも晴れの日の紫外線の80~90%の紫外線が、雨の日でも晴れの日の30%の紫外線が地表に届いています。日本では特に5月~9月の紫外線量が多いですがほかの時期でも紫外線は降り注いでいます。1日のうちでは正午前後の数時間が最も紫外線量が多いと言われています。照り返し(反射)にも注意が必要です。晴天のスキー場を例に挙げると、直接の紫外線(100%)に加えて80%の紫外線が雪面に反射するため、いわゆる“雪焼け”を起こしやすくなります。また、標高が1,000m上昇するごとに紫外線は約10%増加するため、登山のときにも紫外線に注意する必要があります。スキーや登山、海水浴などの各レジャーシーンにも日焼けのリスクが存在するため注意が必要です。

紫外線対策として日焼け止めが有効です。日焼け止めの効果はPA(Protection Grade of UVA)とSPF(Sun Protection Factor)で表示されています。PAはUV-Aをカットする能力を示しており、+から++++の4段階があり+の数が多いほど効果が高いです。SPFはUV-Bをカットする能力の目安です。塗らない場合に対して何倍の時間で日焼けするのかを示しており、日焼け止めを塗らずに30分で日焼けする程度と、SPF- 10の日焼け止めを塗った場合に5時間(30分×10=300分)で日焼けする程度がおおよそ同じになることを示します。SPFの値が大きいほど日焼けを防ぐ効果が高いと言えます。ただし、日焼け止めは汗や水によって落ちてしまい効果が低くなってしまうため、SPFから算出された時間によらず2時間~3時間おきに日焼け止めを塗り直した方が良いでしょう。日焼け止めを肌に塗ること以外の対策として、肌の露出を減らす工夫も重要です。長袖や日傘、サングラス、つばの広い帽子を使って直射日光から肌を守るほか、UVカット効果のあるアイテムを活用するのも有効です。これらの対策は、前の段で触れたように天候や季節にかかわらず行うことが大切です。昼の時間帯を避けて朝夕に外出することで、紫外線の浴びすぎを防ぐこともできます。

一方で、紫外線はビタミンDを体内で生み出す効果もあります。ビタミンDが不足すると食事でカルシウムを摂っていても十分に吸収することができず、カルシウム不足になってしまいます。カルシウム不足が進行すると、筋肉のけいれんが起きたり、骨粗しょう症などの骨のトラブルを引き起こすことがあります。ビタミンD欠乏を防ぐためのサプリメントもあるので、SLEの患者さんは主治医の先生に服用した方が良いかどうかご相談ください。

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