帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹について

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそうを引き起こすウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が原因で起こる病気です。このウイルスは水ぼうそうが治った後も、からだの中の神経に隠れるように潜んでいます。そして、免疫力が低下したときに再び活性化し、帯状疱疹を引き起こします。 帯状疱疹の罹患率は50歳から上昇し、70歳台で最も高くなります(図1)

図1.1997年〜2006年における宮崎県での帯状疱疹の年齢別発生率(/1,000人年)

(Journal of Medical Virollogy. 2009;81:2053-2058より引用改変)

症状

帯状疱疹では、皮膚に赤い発疹や水ぶくれが帯状に広がることが多く、痛みを伴うことがあります。特に、発疹が治った後でも痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」という状態になる場合があります。これは、患者さんの日常生活に大きな影響を与えることがあります。

SLE(全身性エリテマトーデス)の患者さんは、ステロイドや免疫抑制薬を使用することが多く、これらの治療が免疫力を下げる可能性があります。そのため、帯状疱疹になるリスクが高いとされています。

右下腿の帯状疱疹

顔面の帯状疱疹

前腕の帯状疱疹

発症3日目

発症5日目

発症8日目

画像の無断転用はご遠慮下さい

帯状疱疹ワクチンについて

帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンが有効です。このワクチンは、帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高め、帯状疱疹やその後の神経痛を予防することが期待されています。表1に示すようにワクチンには2種類ありますが、SLEの患者さんには、主に乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)が対象となります。また、健常な方では50歳以上が対象ですが、多くの成人SLE患者さんは年齢によらず、接種が推奨されます。主治医の先生と接種の必要性について相談の上検討してください。

また、2025年4月から定期接種の対象になり、接種費用の助成が行われるようになりました。市区町村ごとに助成対象となるワクチンの種類や費用負担が異なりますので、詳しくはご自身がお住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。

表1.帯状疱疹ワクチンの種類と特徴

参考資料)各製剤の添付文書、N Engl J Med. 2005;352:2271-84、Clin Infect Dis. 2012;55:1320-8、N Engl J Med. 2015;372:2087-2096、Open Forum Infect Dis. 2022;9:ofac485

乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)の有効性

乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)は、帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛を予防する効果が高いことが、大規模な試験で示されています。

1つ目の研究では、50歳以上の方で帯状疱疹のリスクを97%以上減らし、ワクチン接種した方では、帯状疱疹後神経痛は発生しませんでした。2つ目の研究では、70歳以上の方で帯状疱疹を90%予防し、帯状疱疹後神経痛の予防効果も89%と非常に高い結果が得られました。帯状疱疹予防効果は、8年で83%、9年で73%、10年で73%であり、効果が長く続きます。

乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)の副作用

多くの方に注射部位の痛みや腫れが現れます。痛みに関しては、冷却や一般的な鎮痛薬を使用することもありますが、主治医の先生とご相談ください。

また、接種後にSLEの疾患活動性(病気の勢い)が増すことがあります。ただし、複数の研究で、疾患活動性(病気の勢い)が上昇する頻度は低く、仮に上昇しても多くの場合は軽度であったと報告されております。

表2.乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)の主な副作用

参考資料)グラクソスミス株式会社作成「帯状疱疹ワクチンシングリックス筋注用を接種される方へ」

まとめ

成人SLE患者さんの多くで、年齢を問わず接種が推奨されています。主治医の先生と相談しながら、接種の必要性を検討してみてください。

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