感染症予防

SLEの症状や、病気の原因である異常な免疫を抑えるために、ステロイドや免疫抑制薬が用いられます。しかし、それらの薬はSLEのコントロールを行う一方で、感染症に対する抵抗力も抑えることがあるため、感染症予防が重要となります。

感染症といってもさまざまな種類がありますが、かぜ、インフルエンザ、コロナといった一般的なものだけでなく、通常の免疫状態の方にはかかりにくいとされる病原体にもかかることがあるため、注意を払う必要があります。

SLEの治療を開始する前には、結核やB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなどの検査を行い、必要に応じて予防薬を内服したり、定期的な検査を行います。また、感染症に対する抵抗力が低下している状態では、ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)の発症リスクが高まるため、その予防としてST合剤(バクタ®、ダイフェン®など)やアトバコン(サムチレール®)の内服やペンタミジン(ベナンバックス®)の吸入などを行うことがあります。

患者さんご自身が日常生活の中で感染症を予防する方法として、

  1. 外出先から戻ったら、まず手洗い・うがいをする
  2. お食事の前に、手洗い・うがいをする
  3. 人混みや換気の悪い空間ではマスクをする

つまり、「手洗い、うがい、マスク」といった基本的な対策が挙げられますが、特別な行動制限は必要ありません。また、十分な睡眠をとり、バランスの良い食事をとることも重要です。

他には、ワクチンによる予防接種も有効です。本ホームページでは肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、SARS-CoV-2ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチンについての解説も公開予定ですので、ぜひご覧ください(青文字のものは公開中)。

感染症にかかったかな、と思ったら、まずは医療機関に受診相談をしましょう。通常は、感染症がよくなるまで、ステロイド以外の免疫抑制薬を一時的に休薬します(ただし、具合が悪くても、ステロイドは必ず続けましょう。内服もできないくらい体調が悪い場合は、ステロイドを点滴で投与する場合もありますから必ず医療機関を受診してください。)。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です