喫煙について

タバコは健康にどう影響しますか

タバコに含まれる「ニコチン」には強い依存性があります。タバコを吸うことで、体内に「活性酸素」という物質が産生され、細胞のDNA(遺伝情報を担う主要な物質)が傷ついてしまい、さまざまな組織にダメージを与えます。

喫煙は、狭心症・心筋梗塞・脳卒中などの「心臓や血管の病気」や、肺気腫・慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった「肺の病気」、さらに20種類以上のがん、歯周病、老化など、多くの健康問題を引き起こします。世界中で毎年800万人以上がタバコによって亡くなっており、そのうち100万人以上(6万人以上の子供を含む)は、他の人のタバコの煙を吸ったことによる「受動喫煙」が原因とされています。

タバコはSLEにも影響しますか

タバコを吸う人は、吸わない人と比べてSLEを発症するリスクが1.5倍高いと言われています。その理由は、喫煙によって細胞のDNAが傷つき、それを自分の免疫が「非自己(=自分ではないもの)」と誤って認識してしまい、DNAに対する抗体(抗DNA抗体)が作られ、免疫が自分自身を攻撃してしまうことでSLEが引き起こされると考えられています。

SLEを発症した後も喫煙を続けると、治療薬が効きにくくなったり、皮膚の症状が悪化しやすくなることが知られています。また、SLEでは心血管疾患や骨粗鬆症などの合併症を予防することが重要ですが、タバコはこれらの合併症を起こしやすくする原因にもなります。このように、SLEの患者さんにとって喫煙は悪い影響がとても多いです。

禁煙した方がよいですか

SLEと診断されたら、できるだけ早く禁煙をすることが強く勧められています。長年タバコを吸っていたとしても、禁煙するのに遅すぎるということはありません。禁煙を始めると、数日でニコチンは身体からなくなり、数か月から数年で心臓や肺の機能が改善すると言われています。

禁煙に成功するためには、まず「禁煙を始める日」を決めることが大切です。そして、タバコを吸いたくなる気持ちにどう対応するかをあらかじめ考えておくのがよいとされています。イライラして落ち着かないときや、集中できないときは、自分にあった気分転換やストレス発散の方法(たとえば、散歩をする、水分をとる、深呼吸をするなど)を試してみてください。特に、禁煙を始めて最初の1か月間は、喫煙スペースやタバコを吸う人が集まる場所に行くことを避けるようにしましょう。また、禁煙補助剤の利用や、禁煙外来の受診、禁煙サポートグループや禁煙教室への参加など、禁煙の成功率を高めるためのさまざまなサービスがあります。

この文章を読んで「禁煙してみようかな」と少しでも思われたら、ぜひ取り組んでみてください。困ったことやわからないことがあれば、主治医の先生に相談しましょう。

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