肺
肺はどのような臓器?
肺は胸部にある大きな臓器で、肋骨と横隔膜に囲まれています。左右に1つずつあり、私たちが普段行っている『呼吸』の役割を担っています。
口や鼻から吸った空気に含まれる酸素は、気管・気管支を通って肺に運ばれ、そこから血管内に入り血液の中に取り込まれます。酸素の多い血液は、肺から全身を巡ってからだじゅうに酸素を供給し、肺に戻ってきた血液には二酸化炭素が多くなっています。肺では二酸化炭素を新しい酸素と交換し、二酸化炭素は鼻や口からからだの外に吐き出されます。このことを呼吸と呼んでおり、生きていく上で必要不可欠なからだの働きです。
全身性エリテマトーデスと肺
全身性エリテマトーデス(SLE)では、しばしば肺やその周りの臓器に病変が出ることがあります。代表的なものとして、①肺そのもの(急性ループス肺炎、肺胞出血、間質性肺病変など)、②肺を覆う膜である胸膜(胸膜炎)、③周辺の血管(肺高血圧症、肺塞栓症など)に病変が出ることがあり、発熱や咳、呼吸困難、胸痛といった症状が出現します。
一方、肺は呼吸によって外の空気と直接接しているため、SLEの治療中にはウイルスや細菌などによる感染症(気管支炎や肺炎など)を起こすこともあります。こちらも発熱や咳、呼吸困難といった症状が現れるため、症状だけではSLEによる肺病変と区別が難しいことがあります。
肺を守るためにはどうしたらよいのでしょうか?
SLEによる肺病変であればステロイドなどの免疫抑制治療を行いますが、感染症であれば抗菌薬や抗ウイルス薬などの治療が中心になります。このため、最初は軽い風邪のような症状でも、長引く場合は早めの受診を心がけ、重症化を防ぎましょう。普段から基本的な感染対策(手洗い、うがい、人混みでのマスクの着用、十分な栄養と睡眠など)をしっかり行うこともとても重要です。
また、タバコは受動喫煙も含めて悪性腫瘍(がん)を発症させやすくしたり、肺自体を傷つけ呼吸機能を低下させるだけでなく、SLEの病状を悪化させたり薬剤の治療効果を弱める可能性、感染による肺炎の頻回化・重症化・長期化によってSLEに対する免疫抑制治療が十分にできなくなる可能性がありますので、なるべく避けるようにしましょう。