全身症状
全身性エリテマトーデスにおける全身症状
全身性エリテマトーデス(SLE)はからだのいろいろな場所で慢性的な炎症がおこる免疫の病気です。そのためSLEでは皮膚や粘膜、筋肉や関節、内臓が障害され非常に多彩な症状が示します。ここでは症状のなかでも全身症状と呼ばれるものについてお話したいと思います。
全身症状では以下のように発熱、全身倦怠感(全身のだるさ)、体重減少、リンパ節腫脹などがおこることがあります。
発熱
SLEの患者さんでは疾患活動性(病気の勢い)が高い時,発熱がみられることがしばしばあります。発熱は関節痛や皮疹とともに発症時の症状としても多いです。しかし、熱の原因が感染症などSLE以外の場合もあります。特にSLEの治療ではステロイドや免疫抑制薬を使いますので、治療中に熱が出た時は感染症との鑑別が大切です。熱が続くときは主治医の先生に相談しましょう。
全身倦怠感
全身倦怠感は疲れがとれなかったり、何もする気が起きないような状態のことです。SLEの最も一般的な症状のひとつで、80-100%の患者さんが自覚されるといわれています。全身倦怠感がSLEの疾患活動性が高い時期にみられることもありますが、治療により他の症状が落ち着いている場合にも継続してみられることもあります。また、しばしば気分の落ち込みや不眠症と関連があるといわれています。
体重減少
SLEの患者さんでは疾患活動性が高い時、発熱や関節痛と共に、体重の減少がみられることがしばしばあります。食欲が湧きにくく、また病気により身体のエネルギーを多く消耗するためです。しかし体重が減少する原因はSLE以外にがんや糖尿病などほかの病気の場合もあります。そのため、体重が思った以上に減った時は、主治医の先生に相談しましょう。
リンパ節腫脹
首もと、首の後ろ側、わきの下、足の付け根などにあるリンパ節が腫れて、しこりや痛みを生じることがあります。SLEでは、発熱や関節痛などと共に疾患活動性が高い時におこることがあります。それ以外にも風邪などの感染症、血液の病気、他の膠原病などでも起こることがあります。痛かったり、腫れに気付いたときは、主治医の先生に相談してください。
全身症状がみられたらどうしたらよいのでしょうか?
全身症状の中には症状がぼんやりとしたものもあり、これらがSLEと関係しているのかどうか分からず、不安に思っている患者さんもおられると思います。SLEの症状は人によって差があり、全身症状のなかには診察や検査でみつけることが難しく、患者さんご自身の感覚や気づきが手がかりのものもあります。もしもこれらの症状で「医師に言っていないけど気になっている」ものがあるようでしたら、主治医の先生に相談してください。