血液検査と尿検査
全身性エリテマトーデスの診断や活動性の評価にはどのような検査がありますか
全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)のほぼ全員(98-99%)の患者さんが抗核抗体と呼ばれる、ご自身の細胞の中にある核の成分と反応する抗体をもっています。抗核抗体の中には様々な種類の抗体がありますが、特にSLEの患者さんの50-80%が抗dsDNA抗体、20-30%が抗Sm抗体を持っています。
これらの抗体が、ご自身の細胞の核の物質と反応し、さらに攻撃を助ける補体も結合した「免疫複合体」をつくります。免疫複合体が、全身の臓器(腎臓、皮膚、関節、血管、中枢神経など)に沈着して病気が引き起こされます。免疫複合体がつくられると、補体が消費され、補体の数値は低下します。
具体的に抗体、補体の説明をいたします。
・抗dsDNA抗体:血液検査で測定します。抗dsDNA抗体の数値が高いことは診断の一助になります。また抗体の数値の高いことと、SLE の活動性(病気の勢い)があることは関連します。
・抗Sm抗体:血液検査で測定します。抗Sm抗体の数値が高いことも診断の一助になります。SLEの活動性(病気の勢い)の評価には用いません。
・補体:血液検査で測定します。補体にはC3、C4、CH50(血清補体価)があります。これらの数値が低いことと、SLE の活動性(病気の勢い)があることは関連します。

SLEの障害臓器ごとに検査は変わりますか
SLEの患者さんの障害を受ける臓器は腎臓、血球、皮膚など様々です。臓器によってはその障害の程度を血液検査や尿検査で確認することができます。
腎臓
腎臓は血液をろ過して、体の中に溜まった老廃物や塩分、水分などを尿として体の外へ出してくれる臓器です。 SLEで腎炎が起きると、血液検査でクレアチニン(Cre)値が上昇し、尿検査で、尿蛋白、尿潜血、尿白血球、尿円柱(赤血球円柱や顆粒円柱)などが検出されることがあります。
血球
白血球:血液細胞の一種であり、身体へ侵入した異物からからだを守る働きがあります。SLEでは白血球数、特に白血球の中でもリンパ球数が減少します。
赤血球:血液細胞の一種であり、肺から取り込んだ酸素を全身の組織に運ぶ働きがあります。SLEでは赤血球が抗体により攻撃されると、赤血球数が減少し貧血が進行します。
血小板:血液細胞の一種であり、出血を止める働きがあります。SLEでは血小板が抗体により攻撃され血小板数が減少することがあります。