血液
血液について
私たちのからだの中を流れている血液は、赤血球、白血球、血小板という細胞成分と血漿と呼ばれる液体成分からできています。赤血球に含まれるヘモグロビンは、全身の各組織に酸素を送り届けます。ヘモグロビンが低下することを貧血といいます。白血球はからだに侵入してきた細菌やウイルスを退治します。そのため白血球の数が低下すると、感染症のリスクが上がります。血小板は出血を食い止める役割がありますので、血小板の数が低下すると、出血しやすくなります。
全身性エリテマトーデスと血液
全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんでは貧血、白血球減少、血小板減少などの血液異常を生じることがあります。貧血は様々な原因で起こりますが、SLEでは自己免疫性溶血性貧血といって、免疫の異常により正常な赤血球が破壊され、貧血が生じることがあります。症状がないこともありますが、貧血が進行すると、息切れやからだのだるさ・きつさ(倦怠感)が生じます。SLEでは自己免疫異常によって血小板減少も生じることがあり、血小板の数が少ないと血が止まりにくくなり、皮膚や粘膜の出血(紫斑)や鼻血などを起こしやすくなります。なお、治療に用いる免疫抑制薬による副作用で血液異常を来すこともあります。そのため、SLEや薬剤によって血液異常が起きていないかどうか、定期的に血液検査でチェックする必要があります。また、血液異常がある場合は、原因検索のため、通常の血液検査以外に血液を作る工場である骨髄に針を刺して骨髄の中の血液の細胞を検査することもあります(骨髄穿刺)。
また、SLEの病気の勢いが強いときには時に重篤な血液障害をきたすことがあります。播種性血管内凝固症候群は小さな血栓(血の塊)が全身の血管に生じ、細い血管が詰まります。その結果、脳や肺、腎臓など様々な臓器に重篤な障害が起こります。血栓性血小板減少性紫斑病は、細い血管が血栓で詰まることによって、血小板減少、溶血性貧血、腎障害、発熱、精神神経症状などが起こる重篤な状態です。血球貪食症候群は白血球の一部であるマクロファージやリンパ球が過剰に反応することで多臓器に障害が起こります。SLEが原因でこれら重篤な症状をきたした場合は、強力な免疫抑制治療が必要となります。