皮膚・粘膜
皮膚・粘膜はどのような臓器?
皮膚はからだの全身をおおう臓器であり、その重さは約9㎏とも言われ、あまり知られてはいませんが人体最大の臓器です。また粘膜は外界とからだの中の臓器が直接接する部分(眼、鼻や口の中、気管や気管支、消化管など)にあります。
皮膚の主な役割は、病原菌や紫外線といった外部からの刺激からからだを守りながら、体内の温度が上がりすぎたり下がりすぎたりしないよう体温の調整を行うことです。また日光からの刺激でビタミンDを作り血液中のカルシウムの濃度を調整して骨を強くする働きもあります。
粘膜の主な役割は、からだの中に病原菌や異物が入らないように粘液を出してバリアーとなることです。
からだの中の異常が皮膚や粘膜の症状として表れることがあり、からだの異常を知らせる大切なサインとなることがあります。皮膚や粘膜は全身の鏡ともいわれています。
全身性エリテマトーデスと皮膚・粘膜
全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんの80-90%の方に皮膚や粘膜に病変が出ると言われています。SLEに特徴的な皮膚の症状には、両側のほほが左右対称に赤くなる“蝶形紅斑”や髪の毛がごっそり抜けてしまうような脱毛、日光が当たったところが異常なほど真っ赤に腫れる“日光過敏症”など様々なものがあり、全身の皮膚のどこにでも症状が出る可能性があります。また、SLEでよくみられる粘膜の症状として口内炎がありますが、痛みを伴わないことが多いことが特徴的です。
皮膚・粘膜の症状が起きる原因としては、紫外線やウイルス感染などにより引き起こされる異常な自己免疫反応が考えられています。
皮膚・粘膜を守るためにはどうしたらよいのでしょうか?
皮膚・粘膜の症状がある人は、SLEの悪化を防ぐために日ごろからの紫外線対策が大切です。その中でも強い紫外線を浴びる場所(海水浴やスキー場など)では特に注意が必要です。帽子や日傘、アームカバー、日焼け止め効果の高いクリームや化粧品などを活用して紫外線を予防しましょう。
皮膚・粘膜の症状の治療には塗り薬だけではなく、飲み薬や注射薬を使って全身のSL Eの疾患活動性(病気の勢い)を抑える必要があります。皮膚・粘膜の症状の多くは治療薬の進歩によってきれいに良くなるようになりましたが、跡が残ったり毛が生えてこなくなったり一部治りづらい皮膚の症状もあります。ご自身の皮膚の症状について主治医から話を聞き、治りやすいものかどうか確認してみてください。皮膚科の先生とも連携しながら治療を進めていく場合もあります。