関節・筋肉
関節・筋肉はどのような臓器?
関節は、骨と骨のつなぎめの部分のことです。関節には、動かすことができる関節(手指や膝など)とほとんど動かすことができない関節(頭や骨盤の骨のつなぎめなど)があります。動かすことができる手足などの関節は、滑膜という組織の膜で袋状に包まれています。また、滑膜の外側を靭帯が覆っていて関節を支えています。
筋肉は、伸び縮みすることによりからだの様々な部分の運動を担っています。筋肉には、手足などからだを動かす役割を持つ骨格筋と心臓や腸などにある内臓筋があります。骨格筋は両端が骨などに付着していて、その間にある関節を筋肉の収縮によって動かすことができます。筋肉が骨につくところは腱という組織になっています。
関節と筋肉は、からだの動きや姿勢をとることに欠かせない重要な臓器です。
全身性エリテマトーデスと関節
全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんの症状の一つに、関節の痛みや腫れなどの関節症状があります。関節症状は、SLEと診断された時に75%、それ以降まで含めると95%の患者さんにみられます。通常、症状は左右対称で様々な関節に出ますが、特に膝、手首、指の関節に多く見られます。痛い場所や腫れる場所が別の関節に移動することが特徴です。関節の腫れ(関節炎)が長く続くと関節の変形が起きることもあります。ただし、関節リウマチとは異なり、骨が破壊されることはまれです。SLEの患者さんで骨の破壊がみられる場合、関節リウマチが合併している可能性が疑われます。また、関節やその周囲の痛みは、ステロイドによる治療などを原因とする骨壊死や骨そしょう症によってもが生じることがありますので、主治医の先生と相談し、適切な検査、骨そしょう症の予防と治療を行い、免疫抑制薬の調整の上でできるだけステロイドの減量や中止を試みていくことが重要です。また、細菌やウイルスに感染することによって生じる関節症状もありますので、特に発熱を伴っているときは感染症の検査も同時に行う必要があります。
全身性エリテマトーデスと筋肉
SLE患者さんの約70%の方に筋肉痛や筋力の低下などの筋症状が見られます。しかし、重症の筋力低下や筋肉の萎縮はまれで、血液検査のクレアチンキナーゼ(CK)という筋肉の障害を反映する数値の著しい上昇は5%未満とされています。筋肉の症状とCK値の著しい上昇がある場合には、筋炎という別の膠原病を合併している可能性があります。また、SLEの治療に用いるステロイドが原因となって筋力低下が生じることもまれにあります。この薬剤による筋症状では通常CK値は上昇せず、薬剤の減量・中止で改善します。また、他の薬剤(脂質異常症の治療薬など)でも筋肉の症状が出ることがあります。
関節と筋肉を守るためにはどうしたらよいのでしょうか?
SLEの関節・筋症状に対しては、ヒドロキシクロロキン(®プラケニル)やステロイドを含めた免疫抑制治療が有効です。ステロイドは即効性があって有効な薬ですが、様々な副作用が出やすく、上記のように筋症状を生じることもあります。そのため、ステロイド以外の薬剤を調整することによって、ステロイドの使用は必要最小限にとどめることが重要です。痛みが強い時は非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェン(®カロナール)などの一般的な痛み止めの薬を使用して痛みを和らげます。また、関節や筋肉に負担がかかりすぎないように動作や生活を工夫することも大切です。一方、痛みが少ない時は関節や筋肉の動きを維持できるように、運動やリハビリを心がけましょう。主治医の先生とよく相談して、それぞれの薬剤の使用条件や副作用について理解し、治療方針を決めるようにしてください。