脳神経

脳・神経はどのような働きをしている?

脳は頭の中にある臓器で、私たちが外界からの刺激(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚など)を認識したり、それをもとに考えたり、行動をうつすときになくてはならない臓器です。また脳はからだ、臓器と神経を介してつながっており、おたがいに情報のやりとりをしています。

神経には、痛みなど体の感覚を脳に伝える感覚神経、脳から筋肉を動かす指令を伝える運動神経、血圧や胃腸の動きなどを調整する自律神経があります。

全身性エリテマトーデスと脳・神経

全身性エリテマトーデス(SLE)では、体の免疫システムが自分自身の一部を攻撃してしまいますが、中でも脳や神経に影響を与えるタイプを神経精神ループス(neuropsychiatric SLE; NPSLE)と呼んでいます。特に脳のはたらきに影響し、物事を正しく認識できない、記憶力が落ちる、計算が難しくなる、気分が落ち込む、わけもなく興奮するなどの様々な精神症状がおこることがあります。一部の方では脳の一部や血管に障害がおこり、手足の動かしづらさ、痙攣(けいれん)などが起きることもあります。

NPSLEの診断方法

NPSLEを診断するために、以下のような検査が行われます。

脳脊髄液検査:この検査では、脳と脊髄の周りを満たしている液体(脳脊髄液)を、背中から細い針で採取します。この液体内の細胞の数やタンパク質の量、脳・神経において免疫物質(免疫グロブリン)がどのぐらい作られているかを表す指標(IgG index)、炎症(痛み、腫れ、熱感等を指す医学用語)の程度を表す指標(IL-6値(保険適用外検査))などを参考にして総合的にNPSLEがあるかどうか検討します。

CT・MRI: 脳の画像を撮影します。これらの検査では、NPSLE特有の変化が見られることは多くはありませんが、異常がある場合には診断に役立ちます。

脳波:基本的な脳のリズムの変化を捉えるのに役立ちます。

脳血流シンチグラフィ(保険適用外検査):脳の特定の部分の血流が低下しているかを確認できます。

神経伝導速度検査:主に手足の運動神経や感覚神経の異常を疑う時に行います。

脳や神経をダメージから守るためにはどうしたらよいのでしょうか?

脳や神経に障害がでるSLEの患者さんは、比較的重症であることが多く、適切な診断と治療を受ける必要があります。医学の進歩により、新しい治療方法や薬が開発され、多くの患者さんの生存率が改善しています。SLEの疾患活動性を抑え、脳や神経へのダメージを防ぐためには、主治医が提案する治療の選択肢についてメリットとデメリットを理解し、自分の意思に基づいて判断することが必要です。しかし、病状によっては適切な判断が困難になることがあります。この場合、ご家族にも病気と治療の状況について理解いただき、患者さんがどのように治療をしていくのか一緒に考えていただくことが重要です。ご家族にも一緒に病気と向き合っていただくことで、患者さんご自身の不安や症状の軽減も期待できます。

状態が一時的に改善しても、ご自身では気づかないうちに脳や神経、精神状態が悪化してしまっていることがあります。定期的な医師の診察を受け、必要に応じて適切な検査を行うことが大切です。

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