ベリムマブ(ベンリスタ®)について
ベリムマブとはどのような薬ですか
ベリムマブは免疫抑制薬のひとつで、生物学的製剤(抗体医薬品)とも呼ばれる薬です。全身性エリテマトーデス(SLE)は、自分自身のからだや細胞を攻撃してしまう異常な免疫系によっておきる病気ですが、ベリムマブにはその異常な免疫系を抑える効果があり、それによって炎症が静まり、細胞や臓器へのダメージを防ぐことができます。
具体的には、SLEではB細胞活性化因子(BAFF:バフ)とかBリンパ球刺激因子(BLyS:ブリス)と呼ばれるタンパク質が過剰につくられることにより、自分自身を攻撃するBリンパ球が活性化されてしまうことがわかっており、ベリムマブはこのBAFF(BlyS)の働きを抑えることでSLEの症状をよくすることができます。
どのような場合にベリムマブが処方されるのですか
SLEのなかでも「既存治療で効果不十分」な場合に保険適用となっており、SLEの疾患活動性(病気の勢い)を抑えたい、再発を防ぎながらステロイドなどの他の薬の減量を進めたい、改善した状態を維持したい、などの目的で使われています。
どのように使用すればよいのでしょうか
ベリムマブは飲み薬ではなく、点滴(静脈内注射)と、皮下注射の2種類の製剤があります。点滴のメリットとして、投与回数が少なくてすむことと、病院で点滴を行いますので自己管理の負担が少ないことがあります。一方で、皮下注射のメリットとして、ライフスタイルに合わせてご自宅などで投与(自己注射)ができること、通院の際に病院に滞在する時間を短くできることがあります。途中から、点滴と皮下注射とを切り替えることも可能です。切り替えを希望される場合は主治医の先生にご相談してください。
投与間隔はどれぐらいですか
点滴製剤は初回投与の2週間後に2回目、さらに2週間後に3回目の点滴をします。3回目以降は4週間ごとに点滴します。1回の点滴は1時間以上かけて行います。
皮下注射製剤は、初回投与のあと1週間ごとに皮下注射を行います。
投与間隔は病状に応じて調整される場合がありますが、自己判断で投与間隔を調節することはせず、主治医の先生とご相談したとおりに投与して下さい。
副作用にはどのようなものがありますか
免疫抑制薬一般に言えることですが、細菌やウィルスに抵抗する力が低下し、感染症にかかりやすくなったり、感染症にかかった場合に重症化・長期化することがあります。結核、B型肝炎およびB型肝炎ウィルス再活性化にも注意が必要で、まれではありますが進行性多巣性白質脳症(JCウィルス再活性化)の報告もあります。その他、点滴や皮下注射直後のアナフィラキシー(血圧低下、じんましん、顔や手足の腫れ、息苦しさなど)や注射部位のかゆみや腫れといった症状、注射から少し遅れて発疹やはき気、疲労感、筋肉痛、頭痛などの症状が出ることがあります。
何か注意が必要なことはありますか
・妊娠された場合に継続するかどうかは、主治医の先生とよく相談してください。
・使用中、生ワクチンは基本的に接種できません。ワクチンを希望される際には、打ってよいもの(生ワクチンではないワクチン)かどうかを必ず主治医の先生に確認してください。
・感染症のリスクを減らすために、手洗いやうがい、マスクなど、衛生管理を徹底しましょう。
・感染を疑わせる症状(発熱、喉の痛み、咳、排尿時痛など)や頭がぼーっとする、手足の脱力、言葉が話しづらい、眠れない、不安や気分の落ち込みなど、異常な症状があれば、直ちに主治医の先生に報告してください。
・薬の相互作用の可能性を避けるため、他に使用している薬があれば主治医の先生に伝えてください。