タクロリムス(プログラフ®)について
タクロリムスとはどのような薬ですか
タクロリムスは免疫抑制薬のひとつです。SLEは、自分自身の細胞を攻撃してしまう異常な免疫系によっておきる病気ですが、タクロリムスにはその異常な免疫系を抑える効果があり、それによって炎症が静まり、細胞や臓器へのダメージを防ぐことができます。
どのような場合にタクロリムスが処方されるのですか
SLEのなかでも「ループス腎炎」が保険適用となっており、主に腎臓に病変がある患者さんに処方されます。 ループス腎炎の活動性(病気の勢い)を抑えたい場合や、改善した状態を維持するために使われます。近年はミコフェノール酸モフェチルが使用できない患者さんやミコフェノール酸モフェチル含め他の免疫抑制薬で治療効果が不十分な患者さんに対してタクロリムスを用いることが多くなっています。
どのように服用すればよいのでしょうか
基本的には1日1回、夕食後に服用します。血液検査でお薬の血中濃度を測りながら量を調整することもあります。自己判断で薬の量を調節することはせず、主治医の先生に教わったとおりに服用して下さい。
副作用にはどのようなものがありますか
免疫抑制薬一般に言えることですが、細菌やウィルスに抵抗する力が低下し、感染症にかかりやすくなったり、感染症にかかった場合に重症化・長期化することがあります。その他、手のふるえ、頭痛、血圧や血糖値の上昇なども比較的よくみられます。また長期間の服用により腎機能障害なども起きることがあります。
何か注意が必要なことはありますか
・内服中は生ワクチンは基本的に接種できません。ワクチンを希望される際には、打ってよいもの(生ワクチンではないワクチン)かそうでないかを必ず主治医の先生に確認してください。
・感染症のリスクを減らすために、手洗いやうがい、マスクなど、衛生管理を徹底しましょう。
・感染を疑わせる症状(発熱、喉の痛み、咳、排尿時痛など)やその他の異常な症状があれば、直ちに主治医の先生に報告してください。
・副作用として血圧の上昇が起こる場合もあり、血圧測定をお願い致します。
・グレープフルーツを摂取すると、薬の体内濃度が高くなり、副作用があらわれやすくなることがありますので、一緒に摂取しないようにしてください。
・薬の相互作用が起こりやすいお薬です、他に服用している薬があれば主治医の先生に伝えてください。
・妊娠中に治療が必要な場合、中止せず継続し用いることもあります。詳しい治療方法は主治医の先生とご相談ください。