アザチオプリン(イムラン®、アザニン®)について
アザチオプリンとはどのような薬ですか
アザチオプリンは免疫抑制薬のひとつです。免疫抑制薬は体内で起こっている異常な免疫反応を抑える薬です。アザチオプリンは異常な免疫反応を抑える効果があり、細胞や臓器へのダメージを防ぐことができます。
どのような場合にアザチオプリンが処方されるのですか
治療の最初の段階で、病気の勢いの安定化を目指して行う強い治療を寛解導入療法と呼びます。その後、再燃や再発を防ぎ安定した
状態を保つ目的の治療を寛解維持療法と呼びます。アザチオプリンは主にSLEの寛解維持を目的とした治療で使用されます。
どのように服用すればよいのでしょうか
基本的には1日2回、朝食後と夕食後に服用します。ご自身の判断で薬の量を調節することはせず、主治医の先生に教わったとおりに服用して下さい。
副作用にはどのようなものがありますか
免疫抑制薬一般に言えることですが、細菌やウイルスに抵抗する力が低下し、感染症にかかりやすくなったり、感染症にかかった場合に重症化・長期化することがあります。その他、はき気、嘔吐(おうと)、肝障害、血液細胞の減少(貧血、白血球減少、血小板減少)、脱毛なども起きることがあります。
副作用のリスクを事前に調べることは可能ですか
アザチオプリンの副作用として急激な白血球減少と脱毛がみられることがあります。これらの副作用にはNUDT15という酵素が関与しています。このNUDT15の遺伝子の型を事前に調べることにより、急激な白血球減少や脱毛のリスクを確認することができます。日本人のおよそ1%の方が重篤な副作用が起こる遺伝子の型を持っています。アザチオプリンの服用前にNUDT15遺伝子の型の測定を行うかについては、主治医の先生とご相談ください。
何か注意が必要なことはありますか
・妊娠・授乳中に服用することは禁止されていませんが、妊娠を希望される際には薬を計画的に調整することもありますので、前もって主治医の先生とよく相談してください。
・内服中、生ワクチンは基本的に接種できません。ワクチンを希望される際には、打ってよいもの(生ワクチンではないワクチン)かそうでないかを必ず主治医の先生に確認してください。
・感染症のリスクを減らすために、手洗いやうがい、マスクなど、衛生管理を徹底しましょう。
・感染を疑わせる症状(発熱、喉の痛み、咳、排尿時痛など)や血球減少を疑わせる症状(異常なあざや出血、息切れなど)、その他の異常な症状があれば、直ちに主治医の先生に報告してください。なお白血球が低下しすぎると、アザチオプリンを中止する必要があります。そのため定期的な血液検査が必要です。
・痛風、尿酸が高い場合の治療薬であるフェブキソスタットやトピロキソスタットと服用すると、副作用が強く生じ ます。そのためこれらの薬と一緒に服用することは禁止されています。別の病院で内服している薬など、服用している薬は必ず主治医の先生に伝えてください。